今回は株式会社Esfiida代表の松崎友哉さんにインタビューを行いました!
アーティストの夢や想いを応援するべく事業を立ち上げた方なので、
・起業で誰かの夢を応援したい!叶えたい!
・エンタメ業界に興味がある!
という方はぜひ読んでみてください!
プロフィール
2003年生まれ。武蔵野大学3年生。
中学高校と6年間寮生活をしながらテニスに打ち込んだ後、起業を志し「武蔵野大学アントレプレナーシップ学部」に2期生として入学。
路上アーティストの「想い」に惹かれ、2023年1月に学生団体としてライブイベント「Emotion」を立ち上げる。
イベントを通じて音楽業界を学び、インディーズアーティストの課題感を知り、
2024年7月に音楽業界でのイノベーションを起こすべく「株式会社Esfiida」を設立。
起業を志したきっかけ
起業はいつ頃から考えていましたか?
高校2年生の頃、新型コロナウイルスの影響で私の生活は大きく変わりました。
僕はそれまでスポーツ一筋で、寮生活を送りながら部活動に全力を注いでいました。
しかし、コロナ禍で大会がすべて中止になり、寮にも戻れず、自宅で何もできない状況が続きました。
その3か月間は、私にとって「空白の時間」でしたが、その時間を通して、自分の人生について深く考える機会がありました。
その頃、世の中では企業の倒産や失業が相次ぎ、ニュースを見ていると「世の中で今ある当たり前って当たり前じゃないな」という現実を感じるようになりました。
そこで、「どうせ一回きりの人生だったら、、当たり前にすがる人生よりも、何か自分で価値を創り出し、挑戦する人生を送りたい」と思い始めました。新しい価値を生み出すために、当時の僕は起業という選択肢しか思い浮かばなかったので、そこからずっと起業しよう!と決めていた感じですね。
今の事業を始めた背景と動機
どうして音楽に関連する事業を始めようと思ったのですか?
実は、最初はスポーツ関連の事業を始めるつもりでした。
大学1年生の頃、スポーツマネジメントに興味があり、その分野で活動を始めたのですが、最初のクライアントとの関係がうまくいかず、計画は挫折してしまいました。
自身の社会経験のなさというか、大人の人たちが何でもしてくれるのが当たり前だという風にちょっと勘違いしてしまっていて。基盤となるクライアントさんを失い、その時は本当に途方に暮れていました。当時はアイデア力もなくスポーツ一筋でやってみるというような感じだったので。
そんな中、新宿の街中を歩いていたとき、ふとバスタ新宿の前で路上アーティストに出会ったんです。その時、自然と足を止めて彼らの演奏を聴いてみたんですが、正直、人生で初めて「音楽をちゃんと聴いた」っていう感覚があったんですよ。
もちろん、曲自体も素晴らしかったんですけど、何より僕に刺さったのは、彼らが抱いている夢や想いでした。彼らは、自分の意見や夢を本気で追いかけていて、泥臭く路上に立ってその想いを伝え続けていたんです。時には罵声を浴びたり、SNSで叩かれたりすることもあるでしょう。でも、それでも自分の夢を信じて追いかけ続ける。そして、そんな彼らを応援してくれるファンがいる。誰かにその想いを届けたいという気持ちで活動している姿が、本当にかっこよく見えたんです。
今の日本には、こういった精神が足りないんじゃないかなって強く感じました。自分の信念を貫き、どんなに厳しい状況でも夢を追い続ける姿。それを見たときに、もっとこういう若者が増えてほしいと思ったんです。そういう想いを込めて、「Emotion」という、夢や想いを繋ぐをテーマにしたライブイベントを始めるきっかけになったんです。
現在の事業内容
現在取り組んでいる事業について詳しく教えてください!
現在は主に2つの事業に取り組んでいます。
1つ目は、路上アーティストをブッキングしてライブイベントを開催する事業です。
このイベントは、ライブハウスと提携し、アーティストを集めて定期的に開催しています。路上アーティストは本気で夢を追いかけています。その「想い」を1人でも多くの人に届けられる、そしてアーティスト同士でのつながりの場となるような価値提供を行っています。
2つ目は、インディーズアーティスト向けのファンコミュニティプラットフォームの開発です。
多くのインディーズアーティストは、ファンはいるもののライブ以外での収益が少なく、音楽活動を続けるのが難しい状況にあります。そこで、私たちはアーティストが簡単にファンクラブを開設し、ファンとの関わりを強化できるプラットフォームを提供しています。
ファンクラブ開設という支援の形にたどり着いたのはどうしてですか?
ファンクラブ開設に至った理由として、私たちは「ファンとアーティストの繋がり」を最も大切にしているからです。アーティストが成長し続けるためには、ファンの熱い応援が欠かせません。そこで、ファンがより応援しやすい環境を整えることが必要だと考えました。私たちはこれまで、イベントやライブを通じてアーティストとファンの関係性を間近で見てきましたが、その中でも特に、熱狂的なファンの存在がアーティストにとってどれほど大きな支えとなるかを実感してきました。
しかし、ファンとアーティストがさらに強い繋がりを持つためのツールがまだ十分に整備されていないと感じていました。そこで、アーティストとファンがより深く交流し、エンゲージメントを高められるプラットフォームとして、誰でも簡単にファンクラブを開設できる仕組みを作ることを決断しました。ファンクラブを通じて、ファンはより積極的にアーティストを応援でき、アーティスト側もファンとの繋がりをより強く感じることができると考えています。
インディーズアーティストにとって、ファンとの近い距離感は重要な要素です。オフラインでの関わりを大切にしつつ、今後も様々な形でファンとアーティストを繋ぐ新たな方法を模索していきたいと考えています。
今の事業を行う上で最も意識していることなど何かあれば教えていただきたいです。
イベントをやるにしても、プラットフォーム事業をやるにしても、常に根源として大事にしているのは『アーティストファースト』という考え方です。特にイベントにおいては、アーティストさんへの気遣いを重視していて、満足度を高めることを心掛けています。正直、僕たち学生がどれだけ良いイベントを企画しても、資金力や経験のある大人たちには勝てない部分があるのは事実です。
でも、それでも僕たちがこれまでイベントを続けてこられたのは、僕たち自身が抱く熱意や、毎回のイベントでの細かな気遣いが評価されてきたからだと思っています。それが僕たちの強みであり、一番大事にしている部分です。
挫折とそれを乗り越えた経験
起業までの道のりで、特に大変だったことや挫折しそうになった経験はありますか?
学生団体から会社を立ち上げるまでの過程では、正直あまり挫折を感じたことはなかったんです。むしろ、やってきて良かったという気持ちのほうが大きいですね。僕のポリシーとして、後悔しない選択をすることを常に心がけているので、その点では後悔することは少なかったです。
ただ、最初に『Emotion』というイベントを始めた時、周りの大人たちからの理解を得られなかったことです。『そんなの意味がない』と否定されることが多く、賛同者がほとんどいなかったのが悔しかったですね。最初は孤立しているように感じましたが、それでも自分たちの信念を貫き続けました。
また、赤字が続いていた時期も苦しかったですね。イベントを運営する中で、ブッキングがうまくいかなかったり、資金が足りなかったりと、特に初期の段階では全くうまくいきませんでした。優先順位を見誤っていたこともあり、その結果、赤字が続いたことが本当に悔しかったです。
赤字が続いていた時期を、どのように乗り越えたのでしょうか?
赤字を乗り越えるために、イベントの構築自体を根本から見直しました。集客をしっかり考えて、赤字にならないラインを設定することが重要だと気づきました。当初は、会場費が高すぎたり、アーティストにノルマを課さなかったり、チケット代を安くしすぎたりしていたんです。その結果、まるでボランティア団体のようになってしまっていました。
そこで、最低限のペイラインを計算し、収益がプラスになるようにシミュレーションを行い、他のライブハウスよりも低めのノルマを設定するなど、現実的な選択をしていきました。ビジネスとして成立させるためには、思いだけではなく、冷静な取捨選択が必要だと学びました。
まさに起業家らしい判断ですね。
ありがとうございます。やはり、お金の問題は起業する上で必ず直面する壁だと実感しましたね。
将来の展開について
今後の展開やビジョンについて教えてください。
僕たちの会社は『エンタメ業界から、新たな文化を。』をミッションに、音楽業界に変革をもたらす組織を目指します!これは短期的に実現できるものではなく、長期的な目標になりますが、これを実現するために今のイベント事業やプラットフォーム事業に取り組んでいます。
僕たちの事業は、どちらかというと支援型で、夢を追っている人たちをどうサポートするかが重要だと考えています。夢を追っているアーティストやクリエイターたちは、当然のように頑張りますよね。では、その頑張りを支える人たちは誰なのか?富裕層や、資金を投入できる人たち、またはそこにお金を溶かそうと思える人たちがもっと積極的にアーティストを支援できる仕組みが日本にはまだ整っていないと感じています。
特に芸能業界では、昔から搾取ビジネスという話があり、最近になってもニュースで取り上げられることがあります。そうした古い体制ではなく、若者たちが頑張れるような環境を作り、エンタメ業界全体を盛り上げるための文化を作りたいんです。そして、それがエンタメ業界にとどまらず、他の業界にも広がっていけばと思っています。これが僕たちのEsfiidaのミッションだなと思っています。
最後に読者にアドバイス
最後に読者に向けてアドバイスをお願いします!
まず、自分自身の話をすると、正直、頭が良いわけでもないし、特別なスキルもない。起業してからも、経営力が足りないなと痛感することが多々ありました。でも、もし起業を考えている学生がいるなら、やっぱり『自分が本気になれるもの』を見つけることが一番大事だと思います。
それが何かを解決したいという強い思いでもいいし、これをやりたいという情熱でもいい。起業する理由や目的は人それぞれで違うと思いますが、重要なのはその熱いパッションやビジョン、そしてそれに伴う行動力です。何があっても前進し続ける力が必要だと思うので、その点を重視して進んでいってほしいですね。
また、起業すると、最初は大体笑われることも多いんです。でも、それに耐えられるかどうかもすごく重要です。何よりも行動し続けることが成功に繋がりますから。