起業したい学生必見!周りと差をつける事業計画書の書き方
こんにちは、Bizdev Journal編集部です。
起業を目指す大学生にとって、事業計画書は夢を現実化するための道筋を示す大切な資料です。
事業計画書を通じて、自分のビジネスの目的や狙いを明確にし、ビジネスが展開する環境や進むべき方向を考えることができます。
事業計画書なしでビジネスを始めようとすると、99%失敗すると言っても過言ではありません。
さらに、銀行や投資家から資金を調達する際にも、事業計画書は極めて重要です。
今回は、事業計画書を作成する際のポイントや、どのような要素を含めるべきかについて解説します。
事業計画書とは?
事業計画書は将来の事業運営に関する具体的な行動を示す重要な資料です。英語では「business plan」と呼ばれます。
事業を作る際に、頭の中で描いているビジョンを、事業計画書として具体化することで、その実現可能性を客観的に評価することができます。
事業計画書の目的とは?
事業計画書の目的は、公的・民間の金融機関や投資家などに提示して、資金を調達することです。
企業の資金調達には、「融資(借入)」と「出資・投資」の二つの方法があります。
このどちらの場合も説得力のある事業計画書が不可欠です。
当たり前ですが、金融機関は返済能力が見込めない事業者に資金を提供することはできず、投資家も成長が期待できない企業や事業に投資したがりません。
したがって、事業計画書を通じて事業の持続的な収益性を示し、信頼を築いていくことが重要です。
事業計画書を作るメリット
ここからは事業計画書を作るメリットに関して解説していきます。
思考の整理と可視化
事業計画書を改めて書き出すことは、自分の考えを整理する重要なステップになります。
具体的には、以下のような点を整理します。
・事業の目的と目標
・手持ちのアイデアやひらめき
・売上目標や将来の展望
・事業を取り巻く環境
頭の中で考えるだけでなく、これらを実際に書き出して可視化し、自分の考えを整理しましょう。そして、それを客観的に検討することが重要です。新しい気づきやアイデアが生まれるかもしれません。
方向性の共有
起業の形態は様々です。一人で始める場合もありますし、従業員を抱えて法人としてスタートする場合もあります。
小規模な起業では、すべての計画が創業者の頭の中にあるので、他者と共有する必要はそこまでないかもしれませんが、事業が成長すると、関係者と計画を共有することが難しくなることもあります。
そこで事業計画書を作成し可視化することで、「事業の将来の方向性」などを関係者と共有することができます。
これにより、チーム全体が一致し、統一された方向性で企業を運営することができます。また、外部に向けて事業をアピールする際にも有益な材料となります。
資金調達におけるメリット
事業計画書は資金調達面でも多くのメリットを提供します。
まず、資金提供者に対するアピールが重要です。
銀行などの資金提供者に対して、「どのような事業を進め、その目的は何か」「この事業によって何が実現可能か」を伝える必要があります。口頭での説明だけでは時間がかかり、必要な情報が十分に伝わらないことが懸念されます。しかし、事業計画書を提出すれば、必要な情報を短時間で正確に伝えることができ、説得力が増します。
さらに、事業内容を詳細に伝えることで、審査期間の短縮や審査合格の可能性を高めることができます。事業計画書をしっかり考え、作成すれば、資金面での課題や改善策が明らかになり、将来の収益向上の見込みも示せます。これにより、将来を見据えた審査判断を受ける可能性が高まります。
また、融資審査の短縮化にも効果的です。事業計画書に必要な情報が記載されていれば、銀行内での審査がスムーズに進み、上層部に内容が伝わりやすくなります。
事業計画書の書き方
ここからは実際に事業計画書に記載すべき項目に関して解説していきます。
企業の概要
企業情報について記載されるべき項目をご紹介します。
企業情報には、以下のような項目が含まれます。
企業名
・住所と連絡先
・代表者と役員の紹介
・株主構成
・電話番号とメールアドレス
・ホームページのURL
・主要取引先
・主力商品やサービス
・従業員数
特に創業時には、代表者の経歴を詳細に記載することが重要です。これまでのビジネス経験や関連するスキル、事業に対する情熱などを具体的に示すことで、信頼性を高めることができます。
このような情報を通じて、事業計画書において企業の信頼性と本気度をアピールすることが重要です。
事業の概要
1,ターゲット顧客(誰に)
2,提供するサービスや商品(何を)
3,提供方法や展開計画(どのように)
これらを明確にするだけで、事業の概要を相手に伝えることができます。
例えば、以下のように示すことができます。
誰に… 大学生や若者を中心とした音楽ファンに
何を… 新進気鋭のアーティストのコンサートチケットをオンラインで販売するプラットフォームを
どのように… ソーシャルメディアを活用した販促キャンペーンを展開し、ターゲット層にリーチする
関係者が多く、単純な言葉で伝えるのが難しい場合は、サービスのフロー図や事業の概要図を示すことで、より分かりやすくなります。
コンセプト
事業計画書の中で重要な箇所は、なぜその事業を始める必要があるのか、そしてその事業で何を達成する予定なのかを明確にすることです。簡潔かつ分かりやすく表現しましょう。
また、その際に自社のミッションや特徴、強みだけでなく、顧客の利益も考慮に入れましょう。
具体的には、「この事業を通じて社会貢献をしたい」「顧客が喜ぶサービスを提供したい」といった情熱を記載します。このような情熱を込めることで、相手に熱意が伝わり、ビジネス経験が乏しい創業者でも資金調達を実現する足掛かりとなります。
これらの記述は、事業運営の中で迷った際の指針としても役立ちます。
従業員の状況
事業計画書の「従業員」の項目では、常勤役員と従業員の人数に焦点を当てます。
現在の従業員数や、将来的に想定している雇用人数、雇用する従業員のプロファイルなどを記載します。
ただし、事業の規模に見合わない人数を記載することは避けましょう。取締役や監査役などの役職は従業員に含まれないことに注意してください。従業員とは、雇用期間に関係なく実際の業務を行う人のことです。
また、配偶者や家族が事業を手伝う場合は、その人数を「従業員数」の欄と「(うち家族)」の欄に分けて記載しましょう。
競合の状況
競合他社の強みや自社を取り巻く状況、そして取り扱うサービスや商品の市場規模について記載します。
競合他社はおおよそ3社程度設定し、それぞれの強みを分析して記載してください。競合分析を行うことで、自社の独自性や強みを見出すことができます。
分析の際には、以下のような軸から情報を整理しましょう。
・何を売っているのか(商品)
・いくらで売っているのか(価格)
・どのような流通経路で売っているのか(流通)
・ブランド戦略やPR戦略など、どのような戦略で売っているのか(販売戦略)
これらの情報を分析することで、自社の強みや市場における差別化ポイントを明確にすることができます。
自社の強み弱み
SWOT分析(Strengths, Weaknesses, Opportunities, Threatsの頭文字から命名されたフレームワーク)などを活用して、自社の状況を分析しましょう。
(SWOT分析に関しては他の方が紹介しているので、そちらもよければご覧ください)https://www.salesforce.com/jp/resources/articles/marketing/swot/
自社の強みや弱みを特定する際には、弱みを改善するための施策も具体的に記載しましょう。強みは、技術やスキル、ノウハウ、資格、組織力、企業文化などの観点から、なぜ顧客が自社を選ぶのかを分析します。
この際に重要なポイントは、「顧客価値」「顧客負担」「利便性」「コミュニケーション」などの観点から分析を行うことです。
サービスの概要
自社で提供するサービスや商品について、どのようなものか、生産や提供方法について概要を記述します。競合他社との違いを説明しながら、大きな売上シェアや事業の看板となるような商材や品揃えについてアピールしましょう。
さらに、顧客に提供するサービスのうち、「目に見える価値」と「目に見えない価値」、そして付随するサービスについて分析します。自社のコストと競合他社との比較や、商品の価値、顧客のコストなどの「価格」軸も考慮して分析を行います。
販売戦略とビジネスモデル
取り扱うサービスや商品をどのようなチャネルで流通させるか、商品のセールスポイントや市場状況に基づいた販売戦略やビジネスモデルを記述します。顧客に自社の商品やサービスを認知させ、購入に至るまでのプロセスを説明します。
ここで重要なのは、どのような販売経路を選択するかという販売チャネルと、顧客に商品やサービスを紹介するためのプロモーションです。
事業に関わる各人の役割や、顧客に商品やサービスが届くまでのプロセス、代金回収の仕組みなどをフローチャートにまとめ、利益を生み出す仕組みを分析しましょう。
体制
事業を進めるための人員計画について説明します。
長期的な視点で、将来の人員配置や動向を考慮した計画を立てましょう。具体的には、意思決定のプロセスや役割分担を明確化した社内組織図を作成します。組織図は、誰がどの業務を担当するかを一目で把握できるように記述しましょう。
事業が成長すれば、人員もそれに応じて増員する必要があります。人件費や採用にかかる費用を予測し、採用計画を立てることも重要です。売上計画と人員計画は密接に関連しており、両方を総合的に考慮することが重要です。
財務計画
財務計画は大まかに以下の3つに分かれます。
売上に関する計画
売上をどのようにして拡大していくか、原価の見込みなどを整理します。
商品やサービスごとに売上計画を立て、見込み客数や経営指標を考慮して実現可能な計画を予測します。
利益に関する計画
売上から原価、販売費用、管理費、借入金、法人税などを差し引いて利益を計算します。
売上総利益、営業利益、経常利益、税引後利益などの利益種別を把握し、効率的な利益の上げ方を検討します。
資金調達に関する計画
利益が出ていても、現金が十分かどうかを確認します。
売上計画と利益計画から資金の増減を計算し、資金調達の必要性を判断します。
銀行借入などの際には、返済可能な資金があるかどうかを判断するためにも資金計画が重要です。
これらの計画を立てることで、「利益を最大化するためにはどこで売上を伸ばし、どの費用を削減すべきか」が明確になります。
事業計画書の注意点
内容は細かく
事業計画書には数字や計画だけでなく、他の情報も含める必要があることを説明します。
資金提供者に理解してもらうためには、以下のような情報を盛り込むことが重要です。
- 企業の沿革や代表者のプロフィール:資金には直接関係しないように見えるかもしれませんが、企業の背景や代表者の経歴は信頼性を高め、投資価値を示す重要な要素です。
- 従業員数、ビジネスモデルの概要、取引先:企業の規模や事業内容、パートナーシップなども重要な情報です。これにより事業の全体像が明確になり、投資価値が評価されます。
- 解決すべき問題点や課題:事業が直面している課題や解決すべき問題を明確にすることで、資金提供者が事業のリスクや潜在的な成長要因を把握できます。
これらの情報は、事業の概要を理解しやすくし、将来の施策や数値計画を説明する際に役立ちます。
整合性を意識する
整合性のある内容を分かりやすく伝えるためのアドバイスをご提供します。
多岐にわたる情報を含めると、資料が複雑になりがちですが、なるべく簡潔にまとめることが大切です。簡潔な資料の方が、読む側にとっても理解しやすくなります。
事業に詳しくない人でも理解しやすいように、グラフや図解を挿入しましょう。ただし、視覚的な要素はシンプルでわかりやすいものにしましょう。また、内容の整合性を確保することも重要です。
競合を記載する
競合調査と市場環境の重要性について説明します。
競合についての調査は非常に重要です。競合に関する情報が欠けていると、ビジネスプランが不完全であると見なされる可能性があります。また、競合の情報を活用することで、企業の戦略をより効果的に構築できる場合もあります。
同様に、市場環境の調査も重要です。参入を考えている市場で、自社がどのようなターゲット層を対象にしているのか、どれだけの収益を見込んでいるのかを明確にすることが必要です。これに基づいて、自社の特徴や強みを説明することで、ビジネスプランの説得力が向上します。
根拠を持った数値を記載する
事業計画書に記載した数値に対して、その実現性について疑問が投げかけられることがあります。特に、「売上が5%増加する」「売上が50万円増加する」といった具体的な数字を収支見込みに用いる場合には、その根拠が重視されます。
変動の激しい経済環境の中で、これらの目標をどのように実現するのか、可能な限り具体的な根拠や裏付けを記載しましょう。
根拠を説明するのは容易ではありませんが、客観的なデータや根拠に基づいた堅実な事業計画書を提出することは、融資を受ける際に非常に重要です。
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