学生起業家の現状
まだ学生にとって”起業”という選択肢は一般的なものであるとは言えないが、徐々に学生起業家が増えています。
学生が起業することは、新しいアイデアや革新を生み出し、経済発展に寄与するだけでなく、リーダーとしてのスキルと経験を積むことで未来の社会を引っ張っていく影響力を持つヒトとして成長していくことが期待されます。
しかし、学生が”起業”という選択をすることにおいて直面する課題は少なくありません。
この記事では以下のBizdev Journalが2024年7月に行った学生起業家や起業を志す学生へのアンケートの結果をもとに学生起業家が直面する具体的な問題を浮き彫りにし、それに対する対策の重要性を解説していきます。
起業に対する課題感に関するアンケート結果(調査人数:学生起業家または起業を志す学生120人)
ファイナンス力の不足
学生起業家が最も直面する課題の一つがファイナンス力の不足です。全体の約60%の回答者が「ファイナンス力の不足」を課題として挙げています。
資金調達の経験が乏しいことや、ビジネスプランの作成に不慣れであること、投資家とのコミュニケーションがうまくいかないことも多々あることが原因だと考えられます。
これらの要因が重なり、学生起業家にとってアイデアを実現するための資金調達、資金運用が大きな壁となっています。
教育プログラムの重要性
学生起業家がファイナンス力を向上させるためには、大学と企業や起業家、投資家が連携した教育プログラムが効果的だと考えられます。
実際に資金調達を経験している起業家や投資家を講師として招き、リアルな資金調達の事例を知ることや、企業でのインターンシップなどを通して既存のビジネスの現場での経験を積むことをファイナンスの授業として大学のカリキュラムにを組み込むことが挙げられます。
大学と企業が連携して、学生向けのアクセラレーターやインキュベーターを設立することも一つの方法となりえます。
このような、理論と実践の両方から学ぶことができる環境を整えることが必要となります。
セールススキルの不足
学生起業家が直面している2つ目の課題は、セールススキルの不足です。全体の約46%の回答者が「セールススキルの不足」を課題として挙げています。
技術的なスキルや専門分野への知見の深く、ビジネスアイデアを生み出せる学生はいる一方で、集客・営業といったセールススキルが不足していることが多く、生み出したサービスや製品を市場に浸透させることに対して難しさを感じています。
実践を通じたスキル向上
セールススキルが最も身につくのは、現場で実践することです。しかし学生が実際に市場に出て、顧客との接点を持つことのハードルはたかいため、セールスの実践をサポートするプログラムやワークショップが必要です。
顧客のニーズを正確に理解し、効果的に提案することへ挑戦することができる機会をつくることで、集客・営業の際に必要な能力の要素分解が進み、よりセールスの現場に出た時に多くの学びを得て、セールスキルを獲得できる様になると考えられます。
学業との両立
学生起業家が直面する3つ目の大きな課題が「学業との両立」です。全体の約45%の回答者が「学業との両立」を課題として挙げています。
学生起業家にとって、学業との両立は避けて通れない課題です。学業の負担が大きくなると、起業活動に十分な時間を割くことが難しくなります。これにより、ビジネスの成長が遅れる可能性があります。
サポート体制の構築
もちろん学生起業家個人がタイムマネジメント力を育み効果的な時間管理をすることが求められますが、それと同等以上に大学側のサポートも重要で、起業志望の学生を支援することが求められています。
学内起業支援センターを設立し、学生が気軽に起業や事業活動についてのファイナンスやタイムスケジュールの課題を相談できたり同じ志を持つヒトが見つかる環境を整えたり、課外活動の一環として、単位認定や奨学金などの補助制度の拡充を検討するのもいいのかもしれません。
まとめ
学生起業家を支援することは、単なる個人の夢の応援といったものではありません。日本社会の課題を解決し、社会にイノベーションの創出や経済の発展に繋がります。
したがって、学生起業家や起業を志す学生を支援することが、未来の日本のリーダー育成に直結します。学生起業家が直面する課題を理解し、適切な支援を提供することは、次世代の産業を育成する上で極めて重要な取り組みです。